WordPressの公式フォーラムやテーマ・プラグイン等のサポート掲示板では、日夜多くのやりとりが発生しています。その中には、良い質問の仕方によって穏便かつ早期に解決するスレッド(トピック)もあれば、よくない質問によって対応が泥沼化・長期化することもしばしばあります。
質問する側にとっては、できれば早めに問題を解決しようと考えているはずです。それでは、どのように質問すればいち早く解決に導かれるのでしょうか。
この記事では、質問掲示板等で良い質問を投稿するか、またどのような投稿がよろしくないかについて、簡単に説明をしてまいります。
前提として抑えておきたいポイント
- 回答者は基本的にはボランティア(無償)であることが多いです(運営の立場にある方は除きます。以下同様)。
- 質問掲示板等のガイドライン・利用規約が公開されている場合、必ずご一読ください。ガイドラインから逸脱されていると見なされる投稿はスルーされても文句は言えません。
- 質問掲示板等はあくまでサポートのためのツールの1つに過ぎず、利用したからというだけで必ず解決できるものではありません。もし完全な実現を目指したい場合は、掲示板などで解決を試みるのではなく、仕事としてご依頼いただくこともご検討ください。
- 回答者は質問者の状況を把握しているわけではありません(逆も然りです)。できる範囲で構いませんので、情報提供をしていただけると、解決も早くなる傾向にあります。
良い質問を行うコツ
「環境」「問題の内容」「試したこと」「再現方法」など、現時点で分かりうること、知りうることを整理して書くことで、的確な回答が得られ、無駄な往復を防げます。
1. サイト環境や状況の明記
- WordPressのバージョン(例:WordPress 6.6.2)
- テーマ名とバージョン(例:Cocoon 2.8.7、XWRITE 3.0.7、Twenty Twenty-Five 1.2など)
※子テーマを使用している場合はできる限り親テーマ名およびバージョンも併記してください - 使用しているプラグイン(特に関係しそうなものだけでも)
- PHPバージョンやサーバーの環境(例:PHP 8.2 / 「エックスサーバー」など)
これらがあると「環境依存の不具合」かどうかがすぐに判断できます。
2. 問題の具体的な内容
- どの操作でエラーが出たのか(例:テーマ設定を保存したときに「メモリー不足エラー」が出る)
- 出ているエラーメッセージ(できれば正確にコピペ。ただしディレクトリ名などは削除推奨です)
- 期待していた動作(例:「〇〇が表示されるはずなのに、表示されない」)
- 実際の症状(例:「白い画面になって管理画面に入れない」など)
3. 試した対処と結果
「〇〇を試したが解決しなかった」という情報はとても有益です。(例:キャッシュ削除、プラグイン停止、テーマ切り替え、functions.phpの修正など)
これがないと、回答者は「とりあえずキャッシュを消してください」といった基本的な回答をせざるを得なくなり、やり取りが増えてしまいます。
4. 再現方法の提示
- 「新規投稿を追加し、画像を挿入して更新するとエラーになる」など、手順を示すと回答者が確認しやすいです。
- 可能ならテスト環境やスクリーンショットを添えるのも効果的です。
5. タイトルや質問文の工夫
- 「助けてください」ではなく「Cocoonで関連記事カードを無効化するとメモリーエラーが出る」のように、何の問題かひと目で分かるタイトルにします。
- 質問文は短すぎても長すぎても読みにくいので、段落を分け、箇条書きを交えると良いです。
記載しない方が良いこと
「何を投稿すべきか」だけでなく「記載しない方が良いこと」を知っておくと、回答を得やすくなりますし、フォーラム等でも嫌がられにくくなります。
「自分が回答者だったら答えやすいか?」を意識して書くと、自然と投稿して良い内容/しない方が良い内容の区別ができるようになります。
1. 情報不足の投稿
- 「助けてください」だけの投稿
→ 状況が分からないため、誰も答えられません。 - 環境やエラーを一切書かない
→ 回答者は「エスパー」ではなく、質問者の状況を全て把握しているわけではありません。余計な質問・応対等が増えるだけです。
2. 不適切な態度・依頼
- 丸投げ質問(「このコードを全部書いてください」など)
→ 無償サポートの場では歓迎されません。 - 強い言い方や不満だけ書く(「WordPressは欠陥品だ!」など)
→ 解決から遠ざかり、反感を買う可能性があります。 - 緊急性を強調する(「今日中にお願いします!」など)
→ フォーラムはボランティア回答が多いため、急かすのは逆効果です(運営・開発者等から回答がほしい場合は別)。
3. 重複・検索不足
- 既に同じ質問が出ているのに調べず投稿する
→ 「過去ログを確認してください」と返されて終わることが多いです。 - マルチポスト(複数の場所に同じ質問をコピペすること)
→ 情報が分散して回答者の時間を奪うため嫌われがちです。
4. セキュリティ・個人情報に関わる投稿
- サーバーのログイン情報やパスワード
- 管理画面のURLや個人情報をそのまま掲載
フォーラムは基本的に誰でも見られるので、上記を書き込むと危険です。もし記載が必要だと感じても「伏字」や「ダミー情報」を使いましょう。
5. 曖昧すぎる内容
- 「動きません」「エラーが出ます」だけ
→ どの場面でどう動かないのか不明だと回答できません。 - 「詳しい人お願いします」だけ
→ 質問の中身ではなく「お願い」だけになると回答がつきにくいです。
良い質問例と悪い質問例
1. 良い質問例
タイトル
Cocoon子テーマで関連記事カードを無効化すると「メモリー不足エラー」が出る本文
お世話になります。
WordPressで以下の問題に直面しており、解決方法をご存じの方がいればご教示いただけると助かります。環境
- WordPress 6.6.2
- テーマ:Cocoon(子テーマ使用)
- PHP 8.2.28 / エックスサーバー
- プラグイン:Autoptimize, EWWW Image Optimizer など
問題の内容
Cocoon設定で「関連記事カード」を無効化して保存すると、管理画面で「Fatal error: Allowed memory size〜」とメモリー不足エラーが表示されます。試したこと
- 全てのプラグインを停止 → 改善せず
- 親テーマに切り替え → エラーは発生しない
- メモリー制限を 256MB → 512MB に変更 → 改善せず
知りたいこと
- この現象がCocoonの不具合によるものなのか、それとも設定やサーバー環境の問題なのか判断したい
- 解決策や回避策があれば知りたいです
どうぞよろしくお願いいたします。
2. 良い質問例のポイント(良い点)
- タイトルだけで内容が分かる
- 環境・エラーメッセージ・試した対策が揃っている
- 「何を知りたいか」が明確
- 丁寧な言葉づかいで、回答者も答えやすい
3. 悪い質問例
タイトル:助けてください!
本文
サイトがうまく動きません。どうしたらいいですか?
早く解決したいので至急お願いします。
4. 悪い質問例のポイント(問題点)
- 具体的な症状が一切書かれていない
- 環境情報(WordPressのバージョン、テーマ、プラグインなど)が無い
- 「至急」など回答者を急かす表現
- これでは回答者は状況を想像するしかなく、返信が付きにくい
まとめ
- 質問掲示板で丸投げしようとせず、できる限りの情報提供を行っていただけると、解決に結びつきやすくなります。早く解決したいという気持ちは嫌というほど分かりますが、そういうときこそ落ち着いてご質問ください。
- 回答者も質問者も同じ人間です。何を書かれたら嫌なのかを想像しながらご質問いただけますと、回答者も気持ちよくお答えいただけると思います。
- 活字だけで得られる情報にも限界があります。できるだけ懇切丁寧にお伝えいただくとともに、必要に応じて箇条書きなどで要点をまとめたり、スクリーンショット等添付したりすると尚良いでしょう。
終わりに
私自身、いくつかのWordPress関連フォーラム・質問掲示板などを眺めるようになっているのですが、そこで色々と思うことがありまして、この記事を書いてみることといたしました。
基本的に、質問者も回答者も同じ人間ということを認識しながらやりとりいただけると、お互いに良い印象を持たれやすいですし、最後まで気持ちよくやりとりできると思います。
いずれにしても、この投稿を参考にしていただけますと、筆者としても嬉しいことこの上ありません。
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